012_赤ビーツでアスリートのパフォーマンスは向上できるのか?
前回は、ビーツ等の硝酸塩を含む食材を摂取した際、体内で硝酸塩がどのようにNO(一酸化窒素)を発生させ、血圧低下作用を示すのか、簡単に説明してきました。今回は、現在報告されているアスリートのパフォーマンス向上に関する研究について、お話します。
さて、赤ビーツ(Beetroot;ビートルート)は本当にアスリートのパフォーマンスを向上させるのでしょうか。赤ビーツに豊富に含まれる硝酸塩から体内でNOを産生し、血管拡張に伴う血圧低下作用や血管保護作用が、パフォーマンス向上に寄与していると考えられています。
Lansleyらの研究では、自転車競技者に対して、ビートルートジュース(硝酸塩を含むものと硝酸塩を極力減少させたもの)をそれぞれ飲用させ、運動負荷をかけました。その結果、硝酸塩を含むジュースを飲んだ競技者の方が、運動のタイムトライアル結果も向上していたと報告しています(1)。また、Carrikerらは、ビートルートジュースを飲むことで、運動経験の少ない人の方が、酸素消費量を抑えられると報告しています(2)。一方、Pawlak-Chaouchらは、自転車競技のトップアスリートにおいては、高負荷をかけた運動と休憩を交互に行う条件では、ビートルートジュースによるパフォーマンスの向上作用は認められないと報告しています(3)。
このように、研究者の中でも効果の有無に関する議論が活発にされているのが現状です。このような多くの赤ビーツに関する研究結果を比較した研究もいくつか報告されています。その1つとして、アメリカ栄養学会から発刊されている2017年の論文の一部を紹介します(4)。こちらでは、過去の研究報告378報の中から、人に対する研究や血圧についての研究結果があるなど、様々なチェック項目にヒットした22論文を対象に、論文同士の研究結果を比較している論文となります。こちらの論文では、ビートルートジュースを飲む事で、収縮期血圧及び拡張期血圧ともに、低下する研究報告が多いことが挙げられています。
さて、赤ビーツ(Beetroot;ビートルート)は本当にアスリートのパフォーマンスを向上させるのでしょうか。赤ビーツに豊富に含まれる硝酸塩から体内でNOを産生し、血管拡張に伴う血圧低下作用や血管保護作用が、パフォーマンス向上に寄与していると考えられています。
Lansleyらの研究では、自転車競技者に対して、ビートルートジュース(硝酸塩を含むものと硝酸塩を極力減少させたもの)をそれぞれ飲用させ、運動負荷をかけました。その結果、硝酸塩を含むジュースを飲んだ競技者の方が、運動のタイムトライアル結果も向上していたと報告しています(1)。また、Carrikerらは、ビートルートジュースを飲むことで、運動経験の少ない人の方が、酸素消費量を抑えられると報告しています(2)。一方、Pawlak-Chaouchらは、自転車競技のトップアスリートにおいては、高負荷をかけた運動と休憩を交互に行う条件では、ビートルートジュースによるパフォーマンスの向上作用は認められないと報告しています(3)。
このように、研究者の中でも効果の有無に関する議論が活発にされているのが現状です。このような多くの赤ビーツに関する研究結果を比較した研究もいくつか報告されています。その1つとして、アメリカ栄養学会から発刊されている2017年の論文の一部を紹介します(4)。こちらでは、過去の研究報告378報の中から、人に対する研究や血圧についての研究結果があるなど、様々なチェック項目にヒットした22論文を対象に、論文同士の研究結果を比較している論文となります。こちらの論文では、ビートルートジュースを飲む事で、収縮期血圧及び拡張期血圧ともに、低下する研究報告が多いことが挙げられています。
図 硝酸塩からNOへの変換
今回紹介した内容によると、トップアスリートのパフォーマンス向上にはあまり寄与しない可能性があるが、趣味として運動を行う方(市民ランナーなど)には、それなりに効果があるかもしれません。しかし、上記に挙げられた論文のように、効果がないという報告も少なからず存在するため、まだまだ研究結果を蓄積していく必要があると考えられます。
参考文献
1.Lansley KE et al, Med Sci Sports Exerc. 43(6): 1125-31, 2011
2.Carriker CR et al, J Exerc Nutrition Biochem. 20(4): 27-34, 2016
3.Pawlak-Chaouch M et al, J Am Coll Nutr. 38(8): 729-738, 2019
4.Bahadoran Z et al, Adv Nutr. 8(6): 830-838, 2017
参考文献
1.Lansley KE et al, Med Sci Sports Exerc. 43(6): 1125-31, 2011
2.Carriker CR et al, J Exerc Nutrition Biochem. 20(4): 27-34, 2016
3.Pawlak-Chaouch M et al, J Am Coll Nutr. 38(8): 729-738, 2019
4.Bahadoran Z et al, Adv Nutr. 8(6): 830-838, 2017
今回の執筆者
関口 祐介 助教(栄養教育学研究室)