城西大学数理応用セミナー
ミニワークショップ 「感染症の数理」

第3回城西大学数理応用セミナー

188足球直播_篮球比分¥体育官网: 2025年3月3日(月)

12:35 - 12:55 栄 伸一郎 (城西大学)
13:00 - 13:45 稲葉 寿 (東京学芸大学)
13:50 - 14:35 西浦 博 (京都大学) オンライン
14:40 - 15:25 岩波 翔也 (名古屋大学)
15:30 - 16:15 江夏 洋一 (東京理科大学)
16:20 - 17:00 荻原 俊子 (城西大学)
17:05 - 17:50 安田 英典 (城西大学)

18:30 - 20:30 情報交換とフリーディスカッション (安田先生退職パーティーを兼ねます)

場所:城西大学紀尾井町キャンパス3号棟5F国際会議室
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プログラムとアブストラクト:

12:35 - 12:55
栄 伸一郎 (城西大学)
タイトル:免疫効果を取り入れた SIR モデルとワクチン効果について

アブストラクト:
SIR モデルに免疫効果を取り入れた単純化されたモデルを考察し, 感染拡大が起きるための臨界人口との関係を解析する.結果として臨界人口がウイルスによる免疫効果には依存せず, ワクチンの効果のみに依存することや, ウイルスの感染力に時間周期性があるとき, 数理モデルが示唆する効果的なワクチン投与法等について報告する.


13:00 - 13:45
稲葉 寿 (東京学芸大学)
タイトル:静的異質性を考慮したケルマックーマッケンドリックモデルにおける基礎概念

Basic concepts for the Kermack-McKendrick model with static heterogeneity
アブストラクト:
新型コロナのパンデミックにおいて注目された重要な視点の一つとして,個体の異質性を考慮しなければ,大規模な流行動態は理解できないということがある.本報告では古典的なケルマックーマッケンドリック感染症モデルに個体の異質性を表す連続パラメータを導入したモデルを数学的に厳密に基礎づける方法を示す.またそれによって示されるパンデミック閾値定理や集団免疫概念の拡張を議論したい.


13:50 - 14:35
西浦 博 (京都大学) オンライン
タイトル:流行ダイナミクスを理解するための免疫ランドスケープの構築:急性期と亜急性期

アブストラクト:
パンデミックの趨勢をリアルタイムで理解するためには人口内でどのセクターがどれくらいの比率で感染予防免疫を有するかを理解することが欠かせません. 他方、これを知るだけで一定のレベルで「これから流行がはじまりそう」とか「いまがピークである」というものを含めてインテリジェンスを政策に提供することが可能になります. また、それに加えて人口レベルでの死亡リスクをリアルタイムで理解することができると「いま対策を緩和した場合にこの国で生じ得る死亡率」のような被害規模の想定も可能になり、大きな政策判断に資することも可能です. 本講演ではCOVID-19の急性期と亜急性期に実施された関連する数理的研究についてご紹介します.


14:40 - 15:25
岩波 翔也 (名古屋大学)
タイトル:ウイルス感染動態の定量的解析と抗ウイルス治療の評価

アブストラクト:
抗ウイルス薬治療はパンデミック対策の重要な手段であり、新興感染症では候補化合物の発見に加えて臨床効果の評価が重要である. COVID-19では6,000件以上の臨床試験が行われ、約20種類の薬剤が使用されている. 迅速な治療法の開発が求められる一方、臨床試験には多大なコストがかかる。私たちの研究では、数理モデルを用いて薬剤効果の予測フレームワークを構築し、標準治療確立を加速することを目指している. パンデミック初期のCOVID-19 患者データを解析し、ウイルス感染動態と患者間の異質性を定量化した. 解析の結果を用いて抗ウイルス治療を考えた場合に、患者の動態差が薬剤効果の評価に影響を与えることを示した. シミュレーションでは、治療のタイミングや測定項目により必要なサンプルサイズが変化することを見出し、効果を捉える適切な条件を特定した. 本講演では、これらを基にウイルス感染動態の数理モデルを基盤とした臨床試験の計画と評価について議論する.


15:30 - 16:15
江夏 洋一 (東京理科大学)
タイトル:自由境界をもつ拡散型感染症モデルとその周辺

アブストラクト:
本講演では、感染個体群の未開地への侵入を表した自由境界問題によって記述される拡散型 SIR モデルについて考える. 感染個体群の移動速度を決める係数と基本再生産数をパラメータとする進行波の存在?非存在について議論する. 近年の関連話題も紹介したい.


16:20 - 17:00
荻原 俊子(城西大学)
タイトル:気候変動の影響を考慮した西ナイルウイルス伝播モデルにおける forced wave について

アブストラクト:
西ナイル熱は、主として蚊を介してウイルス感染し、通常ヒトからヒトへの感染はない. 蚊はウイルス血症を起こした鳥を吸血することにより感染し、感染した蚊に刺されることによりヒトや動物に伝播する. 西ナイルウイルスは鳥と蚊の感染サイクルで維持され、ヒトや動物は終宿主である. 講演では、鳥と蚊の感染サイクルを記述する反応拡散系モデルにおいて、気候変動により蚊の個体数密度が一定のスピードで空間的に変化する場合を考察する. 特に、forced wave とよばれる、気候変動のスピードと同じスピードでウイルス感染が拡大する様子を記述する進行波解の存在について論じる.


17:05 - 17:50
安田 英典 (城西大学)
タイトル:感染症伝播シミュレーションと課題

アブストラクト:
感染症が流行するとき、第一に問われるのは、”どんな状況になるのだろう”であり、そして、”すべきことは何だろう”という問いが発せられる. 数理モデルによるシミュレーションはこの2つの問いをつなぐ最良のツールの一つであろう. 2009 年にはインフルエンザ A(H1N1)pdm の世界的な流行があった. 2019 年には、新型コロナウィルス感染症COVID-19が勃発した. これらの事例を踏まえて、感染症伝播シミュレーションの課題を検討する.